中々自分の思いを言葉にすることが苦手ですが、
mgmを始めたきっかけと思いについて書きたいと思います。
最初に入社した会社は、一般大衆向けの大量生産製品を作っておりました。
カーテン、クッション、その他インテリア用品全般の布小物です。
その中でも私の担当取引先は少し変わった物を依頼されるところばかりでした。
バイヤーとのやり取りで新しいものを作り出す事、現場とで一緒に作り出す事、
自分の提案を喜んでくれるバイヤーや、店頭に並んで商品を手にして下さるお客様、
そして商品が売れた時の喜びはやりがいを感じていました。
でもその反面、新しい物は時間がかかるという事、現場が苦労する事、
アイデアが出ない事、納期までに作らないといけない事、
失敗や改良を繰り返す事、バイヤーや現場、社内でのコミュニケーションの行き違い、
色々経験させて頂きました。
主にポリエステルの糸を使った生地を開発しており、
量産の仕事でしたので、機屋さんや縫製工場などは
海外の工場で製造し、効率や納期、コスト重視で物作りをしておりました。
ポリエステルは糸としては劣化に強く量産でき、何より、織りやすいのが特徴です。
バイヤーの要望や世の中にない物を作るには、変わった生地を作りたい、
もう少し変化のある変わり糸を使いたいと思うようになりました。
しかし変わった糸(意匠糸)を使用すると、糸が変形しているので織りにくく、織り傷が出来安い、
生産効率やコストが合わないなど、様々な理由から作る事ができませんでした。
その限られた範囲の中でも
柄を工夫したり、装飾で工夫したり、生地に加工したり、
一番は縫製で工夫する事が多かったです。
当時は、会社の事、世の中の事、忙しさや周りの環境に精神的に参ってしまっていて
textileの面白さや物を作る事の面白さが分からなくなっていました。
当時は自己分析もできず、何がそうさせているか分からなかった、
そしてtextileと離れました。
離れていた頃も生地に目がいきました。
『どうやって作っているのだろう、、、、』
『面白い生地だな』
アパレルの生地が気になっていました。
小さな頃から物を作る事、絵を描く事が好きでした、
学校から帰ってする事は部屋でこっそり絵を描いたり、
工作したり、ぬいぐるみの服を作ったり、ブロックで遊んだり。
ずっと物作りをしていた事をやめたのはこの時が初めてでした。
自分は何が大切なのか、
何がやりたいのか
何が得意なのか、
何が喜ばせる事が出来るのか、
自分を見つめ直す時間、
最初は何でもない自分に自信がなく、
何ものでもない自分が嫌で嫌でたまらなかった。
自分は何が欲しいのか、肩書きが欲しいのか、、、、
何ものかを分かりたいのか、
自分の必要とされているものとは、、、、
色々な人に自分の事を聞いていました。
原点に戻ろうと思い大学へ
先生と話し、生徒さんの作品を見て心が動きました。
意匠糸を使った生地
立体的な織り方
どれも斬新な生地
こんなに面白い生地があるのかと思いました。
自分のいた世界が狭かったという事、
生地の可能性を知れた事、
『ワクワクする事』何年も忘れていた感覚になりました。
そしてtextileをもう一度やりたいと強く思いました。
